ご挨拶
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日本口腔検査学会
理事長 福本雅彦
このたび一般社団法人 日本口腔検査学会は「国民皆歯科健診について考えるキックオフミーティング」を開催させていただくことになりました。本学会は歯科領域の各種学会はもとより、大学等の教育機関、さらには各企業との連携を積極的に推進し、歯科医療における各種検査の必要性・重要性を社会に発信する活動を行っている学術団体です。
政府は2022年6月に「全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の集積と国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療職間・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。また、市場価格に左右されない歯科用材料の導入を推進する。」という歯科に関わる内容を「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)」として発出しましたが、国民皆歯科健診に関する具体的な健診項目の検討はいまだ議論がなされていない現状があります。
これまで実施されてきた一般的な成人歯科健診項目のみでは健康寿命に直接的及び間接的に影響を及ぼすエビデンスの構築は難しく、機能重視の歯科医療提供が求められている今こそ、口腔機能の評価につながる検査項目の検討・導入が重要です。また1)保険収載されている口腔関連検査項目が少ない、2)口腔関連検査を適切に行う歯科医療職の育成プログラムが少ない、3)国民に対する口腔関連検査の重要性が浸透していない、4)市町村等の委託事業として国民皆歯科健診が行われる場合には、歯科医師会会員施設と行政・地域との連携強化5)会員施設の増加につなげる施策(歯科医師会入会案内事業の充実やいわゆる健診業者参入の防止)など日本歯科医師会との連携が必要である、などの課題も明らかとなっています。そこで健診事業全体の議論に加え、特に健診検査項目、検査方法等につき各分野の専門家が一堂に会し広く深い議論を行う必要があります。さらに、継続的な作業部会を経て実効性のある制度づくりに本学会が貢献するという観点からキックオフミーティングを企画いたしました。学会提言をまとめるには様々な議論を十分に行い深めていく必要であると判断し、本ミーティングを「キックオフ」として位置づけております。
またその先には、歯科医院でさらに口腔検査を取り入れる風土を学会として醸成し、すべての歯科医院で適切な検査手技が担保されるプログラム作成も本学会の果たすべき重要な役割と考えています。
このように意義深い「国民皆歯科健診について考えるキックオフミーティング」を開催するためには、皆様の深いご理解と幅広い御支援が是非とも必要です。何卒御支援と御協力のほどをよろしくお願いいたします。
末筆ながら、皆様のますますの御隆盛を祈念申し上げます。

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